狼の王さまに笑顔を。

「さて、終わりにしようか。お前も苦しいだろう?」



「やめっ……ろっ……」




ノア…??


痛々しい姿の男に剣を刺そうとしていたノア。


ダメ…その男を刺しちゃダメ……


必死の思いで重たい体を動かしノアの元へ向かった。



「ノア……っ……」



ノアに縋りついた。



「音羽?!」



その時、男に隙を見せてしまった。



「今だっ…!!!」



多分最後の力を振り絞ったんだろう。


サッと立ち上がりなにか呪文を唱え私達に向けた。



「ちっ……」



何が起こったんだろうか。


急に目の前が暗くなっていた。



「無事か…音羽」



身体が重いせいか思考回路まで劣って結論が出るまで時間がかかった。



「ノア…??血が出てる…私のじゃない…?……いやぁっ、いやぁあ!!!」



手についた血がノアので怖くなった。


ノアが私を庇い攻撃受けたのだ。




「落ち着け、大したことない。俺よりお前の心配が先だ。」