狼の王さまに笑顔を。

((……助けてくれ…音羽…))



ノアの声がして立ち止まった。



「音羽?どうしたの?早く?」



振り返って門の方を見つめていた



「ノアの声が聞こえた…助けてって…」



??ノアは強いんじゃないの?助けてって??なに…?


ノアに何かあったの…?



無意識に足が門の方へ進んでしまう。



「…ふっ、ちょろいものだな」



「その目を見るな!音羽!!」



「!!!音羽!!!ダメ!!!」



男がニヤリと笑ってこっちを見た。
私の目を塞ごうと現れたノア。
エレナも私を呼んでこっちに寄ってくるのがわかる。



あれ…ノア…?



「もう遅い!!!フハハハハハハ!」



男と目が合った。


さっき見ていた目とはまるで違う、身が固まって震えが止まらないほど怖い目だった。


やばい、そう思った時にはもう遅かった。