狼の王さまに笑顔を。

「あら嬉しい事言ってくれるのね。じゃー遠回りして帰りましょうか。」



微笑みかけてくれるジルさんにパアっと顔が明るくなり

そうしましょうそうしましょう!

とはしゃいだ。



「本当不思議ねぇ、まさか音羽ちゃんとこんな事をする日がくるとは。」



「ははっ、そうですね。私もビックリです」



「本当に帰っちゃうの?ノア様を置いて?」



「……私この世界が離れ難いです。だけど帰るべきところがあるから…だから仕方が無いんです。」



しんみりしてしまった空気。



「……うわあぁぁんん…」



するとどこかで子どもの泣き声が聞こえた。


立ち止まりキョロキョロする



「音羽ちゃん??」



「あぁ…ごめんなさい。子どもの泣き声が聞こえて…」



その声のする方に歩き出す。



ガシッ。



「待って、音羽ちゃん。勝手に行かないで」



勝手に歩き出す私の腕をジルさんが掴んだ。



「ごめんなさい…また私は…」



「私から離れないでね。私も行くから」



そうして2人で声のする方に歩き出す。