異世界の男に恋をしました

side准司


「准司くん、暑いでしょ〜?これ使ってぇ?」


どこから出してんだってくらい甲高い、甘ったるい猫撫で声で俺の名前を呼んでくる女共


女の方を見ると香水臭そうなタオルを差し出してきた。


それを無視して視線を戻す。


ちょうど徒競走の3組目、紅雨の出番だった。


可哀想な組に入ったもんだな。


陸上に熱を入れてる厚化粧のババアが二人もいる


どれだけ紅雨がアイツらに距離を離されずにゴールできるか。


玉城に促されて位置につくと軽やかに飛んだ。


まるで地に落ちたボールのように跳ねる


玉城の出す合図と共に長く細い、でも程よく筋肉のある脚が力強く地を蹴った


少し体勢が崩れたが持ち直して、ババア2人を追いつけない距離まで離した


紅雨の顔は楽しいって言ってるようで


俺にはもう出来ない顔だった


暫く紅雨を見ているとあのババア共が絡み始めた



連れて行かれそうになった時にさっと現れて時間を稼いだのは武政


武政はああいう事の対処は上手いがあのババア共は面倒臭ぇって有名だから行ってやるか


立ち上がると周りに居る女共も付いてくる


媚を売る、地位と顔しか見てねぇ、そんな女を俺は嫌という程見てきた


本当の俺を見てくれる人間は紅華のメンバーだけ


俺の中でアイツらは家族よりも家族だ


紅雨はその中に入るか入らないか


今のところ入りそうだが