side紅雨



倉庫で倒れてから早いもので1ヵ月



いつも眞弥さんが運転する車で学校まで来ている



次の日に学校に来たら沢山の人が一斉に頭を下げて謝って来るものだからちょっと恐ろしかった



「いや、あの頭上げてください...。」




その人達の顔は倉庫で見た



でももう疑心の目を向けて来ない



それだけで普通に話せる



今じゃ皆と仲良く遊んでるくらい



日和ちゃんがちょっと拗ねるけどね



実は金城高校は紅華のメンバーが殆どらしくて



女の子も16人、紅華に入ってるらしい




見た目はやっぱり派手だけど姐御肌



「紅雨、おはよう」



私の頬を両手で挟んで軽く押しながら言うのは九条雛(クジョウヒナ)



「おはよう、雛」



「ちょっと雛、私の紅雨取らないでよ」



雛と日和ちゃんは幼馴染みらしい



だからなのか髪の毛も色の入り方がお揃い



雛は黒髪の毛先にアザレア色



そうそう話は変わるけど



純日本人って皆元は黒髪なのね



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「そういえば祈さん。皆髪の毛鮮やかですけど嫌になったこととか無いんですか?」



祈さんは目をうるうるさせて



「紅雨ちゃんが話し掛けてくれた。何時もなら俺が話し掛けてもガン無視なのに」



って変に感動していた



「質問に答えてくださいよ」


祈さんは少し考えてから口を開く




「まぁ嫌になったら染め直すだけだからね〜
俺はこの髪色2年目だけど結構気に入ってるよ」



「へぇー、そうで.....え? 今染め直すって言いました?」



この銀色の髪は元々違う色?



いやいや、まさか。



「うん言ったよ。紅雨ちゃんも染めたからその綺麗な赤色なんでしょ?」




首を横に振る



「私のこの赤髪は生まれつきですよ
皆もそうなんじゃないんですか?」



「生まれつき...紅雨ちゃん、俺等日本人は皆黒髪なんだよね。」




なんと。この世界には髪の色を変えることができる技術があるのか



「紅雨ちゃんってさ。生まれとかどこなの?
色々知らなさ過ぎて驚くんだけど」



あまり聞かれたくない所を突いてくる



焔帝国なんて言っても分からないでしょう?



分からないなんてものじゃない



この世界に焔帝国は存在しないのだから



「いつか...言いますから」



声が震えた



「分かったよ。楽しみにしてるね」



祈さんはそれ以上詮索してこなかった


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倒れた時もそうだったけど皆何も聞いてこない



それが妙に心地好くて、でも不安で




過去を言わなかったらずっとこの心地好い空間にいれそうで



逆に、皆が離れて行っちゃいそうで怖い



准司さんは、離れてしまうのだろうか



ん?准司さん?



日和ちゃんと雛じゃなくて何で准司さんが浮かんでくるんだろう