異世界の男に恋をしました

「じゃあ俺下に話してくるわ」



冴綺さんはヒラヒラと手を振りながら部屋を出る




「そういえば紅華って何人居るの?」



「紅華だけだと200くらいかな」



200なら余裕で名前覚えられそうね




第4軍隊長だったからね



兵の名前を覚えるのは苦じゃない



むしろ楽しい




「でも同盟とか傘下もいるからもっと多いよ」




え...人数によっては覚えられない



「薊菜(アザミ)が100で春蘭(シュンラン)も100。
己鏡(キキョウ)が80だったか」



結構沢山いる


侮ってた



「全員の名前覚えようとか考えんじゃねえよ
俺らだって覚えきれてねぇんだからよ」



「准司さん、それトップ務まります?」



名前を覚えられないと指揮が取れない



昔、身をもって学んだ事よ



「大丈夫だろ。今出来てるし」



楽観的な人



扉を開ける音がした



「倉庫に居る奴揃ったぞ」




日和ちゃんに促されて下まで降りる



何か彩り豊かね



向こうじゃこんなに鮮やかじゃ無かったわ



「お前らに姫を紹介する」



鳥肌が立った



准司さんこんなに低い声出せるのね



地を這う様な低音



炎牙兄様には負けるけど流石は人の上に立つ人



威圧感が半端じゃない



「ほら、自己紹介。」



何でこういう時は優しく接するのよ



ぶつくさ文句を言いたい



でも我慢我慢



「成龍紅雨です。姫?になりました。守られるだけなんてそんなひ弱な女じゃないのでお気になさらず。あとは.....あっ准司さんの彼女ではないので。」



何だろう...彼女じゃないって言った瞬間ザワザワし始めたんだけど


「総長、1ついいっすか?」



銀髪のお兄さんが手を挙げる



「何だ」



「紅雨さんが姫になったなら俺達は全力で守ります。でも何で総長の女じゃないのに姫になったんですか」



確かに、とかそうだよな、って言葉がよく聞こえる



姫は長の女がなるのが基本


きっと今までの慣習でそう決まっているんだろう



目の前の大勢の人の、何で?と聞くような目を見る


「.....っ」



あぁ...この目



私が軍職に就くもっと前



もっともっと昔



私がまだ成龍紅雨"じゃなかった"時



"お前がもっと早くあれに気付いていたら"


"お前が弱かったから"


"何でアイツが死ななきゃなんないんだよ"



"もう俺達の前に現れるな"




ここに居る皆はあの人達じゃないのに



皆が向けるのは疑問を訴えかける目なのに



あの日の、あの人達の侮蔑、殺意の篭った目じゃないのに


恐れるような目じゃないのに


あの人達に見えてしまう



カタカタと身体が震える



「...?大丈夫かよ?」



「嫌っ、来ないで...お願い来ないで」



伸ばされる手が私を殺そうとしている様で



私は限界だった



フッと意識が飛んだ