side蝶華



「姫様が心配か?」



「芦秋...当たり前でしょう。今の姫様の精神状態で1人で異世界へ行かせるなんて」




仕事を全て放り投げてでも姫様に付いて行きたかった




でもそれを皇帝陛下は許してくれなかった



『蝶華が居なくてもあの国の人間は紅を救ってくれるはずだ。言語もこの世界と同じだから全て1人でこなせる。お前が付いていく必要は無い』





皇帝陛下のお言葉は絶対




ただの側近が口答えなんて出来ない




もし姫様の身に何か起きたら...




そう考えるだけで冷や汗が止まらない



「お前さ、自分の慕ってる姫様信じねぇでどうすんの。そんなんじゃお前、姫様も安心出来ねぇぞ」




信じてない訳じゃないのに




でも、少し心が軽くなった




「ありがとね芦秋。ドンと構えて姫様の帰りを待つわ」




芦秋は一瞬驚いた様な顔をしたけどニヤニヤ笑って


「蝶華が俺に礼言うなんて珍しい事もあるもんだねぇ」



なんて言ってくる



「煩いわね!!もう一生アンタにお礼なんて言わない!!」



姫様、私、待ってますから。




あなたがまた春鑼さんと一緒に居た時のような笑顔を浮かべられる様になるまで。



私は誰よりもあなたの幸せを願う者ですから