「戦争を無くすため。誰も争いで死なない世界を作るため。」



やっぱりね



「じゃあ今まで戦争で死んでいった兵たちは、その世界を作るための犠牲なのですか?」



「あぁ」



もう私はこの国で生きていくことは難しいかもしれない



こんな戦争ばっかりの国



離れてしまいたい




「そうですか。ではお父様のもとへ行ってきますね」





久しぶりに部屋から出た




3日動かなかっただけでこんなに力が無くなるなんて思ってなかった



お父様の所まで行くのに随分と時間がかかった



「お呼びですか?お父様」



玉座に深く座る父の顔は蒼白いように見えた




体調が悪いのかしら



「紅雨、お前に休暇を与える
異国の地でゆっくり休んでも良い
取り敢えず、軍職を休め」




軍職を休む



異国の地へ行ってもいいのなら



「ならば...この世界を1度だけ離れてみても良いのですか?」



ずっとこの国の中だけで生きてきた



傷を癒すためにも、休暇なら行ってみたいところへ行きたい



お父様は少しだけ渋っている



どれ程の時間が経っただろう



「なら、この国へ行くと良い
戦争のない平和な国だ」



お父様はそう言いながらある1枚の地図に書かれている大きめの島国を指さす



『Japan』



なぜ異世界の地図があるのかそれは分からないけれど



その島国の名前はJapanと言うらしい





自室へ戻る間少しの期待と不安が入り混じった