あれから3日が経った



今、私の手には春鑼の髪紐とネックレスが握られている



やる事、沢山あるのに



私の業務を全部蝶華に任せてしまっている



剣術の鍛錬もしなきゃいけないのに



剣を握るどころか見ることも出来なくなった




春鑼の死因は心臓を剣で貫かれた事



愛する人を殺した剣を見る事が辛かった




「紅雨、入るぞ」



返事をする前に入ってくる人は1人しか居ない



「何ですか?炎牙兄様」



窓の外、賑やかな街を見ながら用件を聞く




「父上がお呼びだ」



お父様が私を呼ぶだなんて珍しい事もあるのね



「.....炎牙兄様、1つだけ伺っても?」



「何だ」




「私達は、何の為に戦争をするんですか」



今まで聞いてこなかった



"戦争の無い世界を作るため"




そう思ってきた、信じて疑わなかった



でも春鑼を失った事で本当にそうなのか分からなくなった




いや違う。



元々分かっていなかったんだ




家族同然の兵達が目の前で死にゆく光景を見てしまった




その日から戦争の無い世界を作るための戦争はこういう事なのかと疑ってしまう




武力で押さえ付けるのではなくて話し合いで解決する事もあるんじゃないの?



戦争なんてものがあるからあの人達は命を落とすのよね




だったら戦争なんてしなければ良い




今回の事で辿り着いた私の考え



何で今まで分からなかったのかなんて聞かないで



私達兄妹は



小さな頃から戦争に勝ち続けて世界を統一すれば戦争なんて無くなるって育てられてきた