蜜月side




目の前で土下座しながら必死に謝る影狼。




鈴峰はどうするんだろう?




「顔上げろよ…辛いじゃねぇか。もう二度とこんな事すんな、それからまた何かしそうで心配だからあたし等の倉庫に来い。住まわせてやる。お前みたいに親がいねぇ奴もたくさんいる。皆あたしたちが拾った奴等だ。下っ端から始めろ」




思いがけない発言に私含め皆が口をあんぐり開けて固まった。




「何言ってんの?!帝さん?を殺した奴だよ?!許せるわけないでしょ?!」



私の言葉に少し微笑む鈴峰。




「分かってるよ。だけど、帝はそんな事望んでないと思う。あたし等とつるんでるクセに人一倍平和主義者だったんだよ…喧嘩だって事情を知れば解決するとか脳天気な事よく言ってたからさあ」




上を向いて泣くのを我慢しているような鈴峰。




「俺、そんな恵まれてていいのかな…?散々酷い事してきて…それでいて住まわせてもらうなんて」




力なくそう言って俯いた。




さっきまでの威勢はどこに行ったのか




弱々しくてなんだか捨て犬みたいだった




今、この人が影狼だって言われても誰も信じないと思う




「…ごめんなさい!俺、月組の事尊敬してるのに目の前見えなくなって総長さんのせいにして…すみませんでした!!」




「それは不可抗力って事で良いよ。コイツが月組の総長名乗ったならそう考えても仕方ない。お前はまだあたし等に何もしてないだろ?」




「でも…!」




「無駄な事で謝られるのは好きじゃない。帝があたしをそう変えたんだ」




嬉しそうに話す鈴峰。




今まで見た中で1番の笑顔だったと思う