鈴峰side




「鈴峰、よく聞け」




パパの少し強張った顔。




いよいよ、来ちゃったんだ…




パパの表情だけで分かるよ




パパの心配そうな顔




心配かけたくないのに帝の事があったからパパもママも同じ事が起こりそうで怖いんだ




パパたちも帝と仲良かったから息子みたいに大切に思ってた




あたしが辛いのを必死に隠してるからパパたちも明るい雰囲気を作ってきてくれた




それにもきっとあたしは救われてた





既にパパたちの事頼っちゃってるじゃん…




でも、もう…大丈夫!




親離れってやつ?笑




過去のあたしとお別れしてくるね




きっと帝の事忘れずにいたらあたしの記憶の中で生きていけるでしょ?




誰かが大切に思い続ければ帝の存在は肯定され続けるでしょ?




なら、あたしが帝を生かす




皆の中にもきっといつまでも最期の帝しかいない




楽しかった帝との記憶を取り戻すために




帝の笑顔を取り戻すために




あたしが影狼を…殺す




影狼という名をこの世から失くす




二度と命を奪うような真似はさせない




どんなに嫌われてる人にも大切に思ってくれる人がいるはずだからその人は生きていける




きっと影狼にもいるはずでしょ?




いつも最後に止めてくれるあの子が




その子の大切さに今回で気付いてくれる




帝を亡くしたあたしにはそれ以上の悲しみはない




帝は唯一あたしを照らし続けた光だった




どんなあたしも受け止めてくれたから




いつも笑顔でいてくれたから




あたしが帝の代わりになれるか分からないけどそれでも帝の溝をあたしが埋めたい




大好きだよ…これからも




ばいばい、もう行かなきゃ




「パパ、もういいよ行ってきます!」




あたしは心からの笑顔を向けた。