蜜月Side




〜♫




スマホが鳴る。




こんな時間に連絡してくるのは1人しかいない。




「もしもし…」




《お!起きてんじゃん!》




いつも鈴峰が不規則で迎えに来るから早起きになっちゃったんだよ!




そう思うけど言わないでおこう。




《いまからそっち行くから準備しといて♪》




本当に勝手な人…




でも、そんな所も好きなんだからきっと私は重症だと思う。



急に鈴峰と出会った頃を思い出した。




あれは、私が中学生になったばかりの頃




私の両親は本当に最低な人たちだった




父は仕事をしていなくて私の家は母のパートだけで生活のやりくりをしていた。




でも父はアルコール依存症でほんとんどが父のお酒のためにお金はなくなっていた




母は自分だけが頑張る生活に耐えられなくなり私に八つ当たりするようになった




パートから帰ってくるとすぐに私に日々のストレスを吐き出した




と、いう名のDV…




毎日殴られるのに耐える様になった




夜だけは1人になれる様に街を低徊した




昼間は学校に行けたけど帰りが遅いとまた怒られ殴られる




弱い自分が嫌いだったし私のために頑張っていた母を少しでも軽くできないのも嫌だった




父のアルコール依存症だってもっと前に気づいて止めていればなにか変わっていたかもしれない




父はお酒が無くなると私を蹴り倒したりする




おかげで全身あざだらけだった





学校に行くとそのあざを見て気持ち悪がられ誰も近づこうとしなかった




2人が寝静まったのを確認してから夜の街に飛び出すけど出たところで売られた喧嘩を受け止めるしかなくて結局は家にいようが外にでようが殴られる生活は変わらなかった




それでも家にいるよりは外のほうが好きだった




だって、殴られるなんて極稀なことだったから





その日は本当にツイてなかった…




金髪の男たち数人が私がガンを飛ばしたと言って殴りかかってきた




でも弱い私はそれを阻止することさえできない




こんな時は相手が気が済むまで殴られ続けるしかなかった




でも、殴られそうになった私の前を月の様に輝く銀髪が遮った




男たちが呆気にとられている間にその銀髪は猛スピードで相手を倒してしまった




思わず拍手したくなるほど綺麗に素早く言葉に言い表せない程…完璧だった




その銀髪は私の方を振り返ると一言呟いた




「家に来い、お前を引き取ってやる」




鈴峰との出会いは私にとって人生を大きく変えてくれた




実は銀狼と呼ばれる程みんなから尊敬され恐れられていることもあとで知った




私が異様な空気を放っていたから助けたし声をかけたと鈴峰は教えてくれた




いつかコイツは化ける…そう確信していたらしい




今では月組の副総長にまでなって、黒狼と呼ばれるまでになった




私は両親に1発ずつ蹴りをいれてから別れを告げた




小さい頃は本当に仲の良かった家族だったのに、どこで歯車がズレてしまったのか…




私は窓から見える空を見上げてそう思った。




「み〜つ〜き!!10秒で出てきて!」




外から怖い怖い鈴峰が私を招集する声がする




私は少し微笑むとダッシュした