「ロージィ嬢…ルナさんに自作自演は無理なんだよ」
陛下が静かに語る
「ルナさんは…この城の隠し通路は一つも知らない。教えていない。正確に言えば、まだ教えていない。ルナさんに隠し通路を教えるタイミングは…王妃となってからなんだ」
そう、ルナは隠し通路を知らない
ルナが戴冠式を終え王妃となったその日に教わる
だから、ルナが隠し通路を教えることは不可能
「あと、ルナさんはここ最近町に出た事はない」
ここ最近どころか…
ルナはココに来てからまだ一度も町に出ていない
「こっそりと出ればバレないわ!少しの時間なら…そうね、夕食時は一人になるハズ。その時に抜け出せば」
「ロージィ…もうやめなさい」
そこでロージィの言葉を止めたのはバラットだった
バラットは知っているのだ
ルナは一人で食事を取らない事を…
そして、ルナの喉が焼け完治するまでの間
俺かアイルがずっと側にいてルナは一時も1人にはなっていない事を…


