「面白いコだね」
頭の上を滑りぬけた思いがけない言葉にゆっくりと顔をあげる。
西崎さんは目を細めてやさしく笑った。
「採用されないだろ? これじゃなかなか」
「……」
たしかに…
西崎さんの言うとおり、あたしはこれまで仕事が長続きしなかったのはもちろんのこと、バイトが決まらないことが多々あった。
「…はい」
あたしが正直に答えると、だよな、とひとりで納得してふたたび履歴書に目を落とす西崎さん。
職歴の欄にあたしが書いた会社名を、ボールペンで1本ずつ線を引いて消していった。
「よし」
ぜんぶの職歴を消し終えて満足げにそう言うと、西崎さんは真剣な表情であたしを見据えた。
「村瀬さん、あのね?」
「はい」
「職歴が多いのは経験が豊富でなんでもこなせますって意味じゃないよ? 自分はどこへ行ったって長く勤まらない。自分は無能ですって言ってるようなものなんだ」
「自分は、無能…?」

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.809/img/book/genre1.png)
