「いやに安心しきってるようだけど、言っとくけど俺は聖人君子じゃねぇぞ」
「え…」
「おまえにはまだ分かんねぇかも知れないけど、男の頭ん中なんてな、みんな考えてること一緒なんだよ。
目の前の女が好きだろうが好きじゃなかろうがチャンスがあればヤりたいって考えてる。ヤることしか考えてねーんだよ。
俺も、おまえが知らないだけで、裏ではやることやってきてんだよ。
今まで好き勝手に何十人何百人って女抱いてきてんだよ!」
「…福嶋く」
「なのに……なのに何で…」
一瞬ゆるんだ左手の拘束をそっとほどいて福嶋くんの頬に触れる。
目には見えないけど、なぜか泣いているように見えた。
だけど、その手をすぐさま振り払い、なおも鋭い眼差しを突き刺してくる福嶋くん。
「…せろよ」
「…? え…?」
「――…ヤらせろよ」
「……」
「溜まってんだよ最近。――お前のカラダで性欲処理させろよ、村瀬」
「……」
「…なに黙ってんだよ。聞いてんのか? ヤらせろっつってんだよ!!」
……どうしてだろう?
瞳は氷のように冷たいのに、なのに本気で言ってるようには見えない。
耳を疑うような台詞は吐くくせに一切手は出してこない。
来ないのをあたしは分かってる。
このあといつもみたいに『冗談だよ』って笑ってくれるのが福嶋くんだから。
ヒヤヒヤさせられたりドキドキさせられたりいっぱいするけど…
それでもあたしは…この人を本気で怖いとは思わないし、心底嫌いにはなれない――。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.809/img/book/genre1.png)
