「ほんと言うとアタシが後釜に…なんて都合のいいこと思ってたけど、 アタシじゃ慧ちゃんの心を動かすこと長年かかってもできなかった。 アタシじゃ慧ちゃんの心に入り込むことも住み着くこともできなかった」 「……菜月」 うっすらと瞳に涙を浮かべ、菜月はしなやかな指を俺の首筋に当てる。 「昨日は…ごめんね。酔った勢いで変なことして」 「…覚えてるのか?」 てっきりあれだけ飲んだから覚えてないものだと思っていた。 「…何となく、だけどね」 「…そうか」 「うん…」 少し気まずい沈黙が続く。