その後、このまま俺から借りたのでは又貸しになるからとユリカと共に図書室に向かった。
『わざわざ言いに来てくれてありがとう』
俺が返却したばかりの本をすぐさまユリカが借りる手続きをする。
『いえ』
そっけなく返した俺にユリカはふふっと意味深に笑う。
『何すか…?』
笑われるようなことした覚えないけど?
ちょっとムッとするとユリカはふいに顔を覗き込んできて俺の頬を軽くつねった。
『笑ったほうがいいよ?』
『は?』
『噂通りクールで無愛想な福嶋くん』
…噂通り?
『だけど私は……笑顔の福嶋くんのほうが好きだなぁ』
『…!』
反則技のように愛らしく微笑むユリカ。
また不意打ちか、とたんに心に大きな波が押し寄せた。
深い意味はないのにユリカの『好き』に過剰に反応してしまう。
そうして頬をつねっていたユリカの手を思いきり払いのけた。
――パシン!
乾いた音が図書室に響き渡った。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.777/img/book/genre1.png)
