『1年生の福嶋隼人くんでしょ?』
入学してまだ間もないのになぜか天下の蓮実ユリカに俺の名前が知られていた。
『そうですけど』
少し訝しんでいるとユリカはニコッと微笑んで何を思ったのか『最初はグー』と構えた。
え、と一瞬不意を打たれて戸惑ったけど
次に発せられた『じゃーんけーんぽん!』という言葉に条件反射で体が反応した。
結果は俺がチョキで、自分から仕掛けてきたユリカがパーを出し負けとなった。
ユリカは悔しそうに唇を噛みしめながら素直に負けを認め、俺に本を譲ってくれた。
そんなことがあってから、それまで抱いていた蓮実ユリカのイメージががらりと変わってしまった。
もっとお高く止まっていて育ちのよさが全面に出ていて近づきにくい人だと思っていたから。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.776/img/book/genre1.png)
