『…大丈夫か、隼人?』
先輩の言葉で我に返る。
『…え、あ…はい』
まだ頭が回らない。
心臓がせわしなく動いている。
先輩の前で動揺を見せないようにとタバコに火を点けた。
『…隼人おまえ、まだ蓮実ユリカ‐ハスミ ユリカ‐のこと』
『蓮実…? それ誰でしたっけ』
一応とぼけてはみたが高校時代の俺を知っている先輩にそんなもの通用するはずがない。
なぜなら蓮実ユリカと俺は、高校時代に付き合っていたからだ。
それを先輩はよく知っている。
いや先輩だけじゃなく、がり勉だらけの俺の高校じゃ恋愛にうつつを抜かしている生徒は天然記念物級に物珍しかったから、俺とユリカが付き合ってるのはほぼ全校生徒が知っていたんじゃないだろうか。
とくにユリカは有名人だったし。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.773/img/book/genre1.png)
