ワンルームの部屋には不釣り合いな高級ベッドと高級ソファ。



ほかに家具も家電もなく、いかにここを住居としていないかが一目瞭然で分かる。



聞かなくても分かる…



この部屋で毎回何が行われていたか。





この部屋に連れて来られて3時間、
ずっと飲み通しだったから少し酔いを醒まそうとベランダに出た。



最上階の10階からの眺めはまずまずで、夜風も心地いいことだし酔いを醒ますどころか今度は景色を肴にそこで飲むことにした。





『…私と一緒ね。

どんなに望んでも、どんなに頑張ったって、…本当にほしいモノは手に入らない』





互いのワイングラスをかち合わせた後、悲しげな顔でそう呟いたのは―――西園寺ユリカ‐サイオンジ ユリカ‐さん。



この全く生活感のない部屋の持ち主だ。



何でも年商ウン千億という大企業の社長夫人らしい。