菜月は昔から弱音は吐くけど絶対に自分の涙は他人に見せないヤツだった。 どんなに辛く哀しいことがあってもコイツは絶対に人前では泣かない。 それを知っているからこそ 菜月の涙はこれが本気の恋だったことを証明しているかのように見えて、こっちまで胸が苦しくなった。 菜月の頭をあやすように撫でて俺は菜月の隣にストンと腰を下ろす。 静かに問いかけた。 「…入口の貼り紙見たのか」 菜月は沈んだ顔で黙って首を縦に振る。 「…そうか」