「…村瀬、声でけー…」
福嶋くんが迷惑そうに人差し指で耳をふさぐ。
しゅしゅしゅしゅ出張ホストって、ああああれだよね――?
確か、おおお女の人と、ホホホホテルとかでそそそそういうことする仕事だよね――??
なっ…
なっ…
なっ…
なっ…
何やってんの…
この人……裏で……
軽蔑の眼差しを向けると、あたしの視線に気づいた福嶋くんが煩わしげに息を吐いた。
「んな汚いモノ見るよーな目で見んなよ。
デリホスっつっても何もいかがわしいことしてねーし。
いっしょに映画観て、メシ食って、酒飲んで、ちょっと話し相手になってやっただけ」
映画観て?
ごはん食べて?
お酒飲んで?
話し相手になってあげただけ?
「あ…朝…まで?」
「ああ。客が旦那に内緒で借りてるマンションで朝まで飲んでた」
だ、旦那さんがいる人と?
「ふ…2人っきりで?」
「…たりめーだろ? 何のための出張ホストだよ、…はぁ」
いちいち説明するのも面倒みたいに頭を抱える福嶋くん。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.759/img/book/genre1.png)
