「…村瀬、声でけー…」



福嶋くんが迷惑そうに人差し指で耳をふさぐ。





しゅしゅしゅしゅ出張ホストって、ああああれだよね――?



確か、おおお女の人と、ホホホホテルとかでそそそそういうことする仕事だよね――??





なっ…



なっ…



なっ…



なっ…



何やってんの…



この人……裏で……





軽蔑の眼差しを向けると、あたしの視線に気づいた福嶋くんが煩わしげに息を吐いた。



「んな汚いモノ見るよーな目で見んなよ。
デリホスっつっても何もいかがわしいことしてねーし。
いっしょに映画観て、メシ食って、酒飲んで、ちょっと話し相手になってやっただけ」



映画観て?



ごはん食べて?



お酒飲んで?



話し相手になってあげただけ?



「あ…朝…まで?」



「ああ。客が旦那に内緒で借りてるマンションで朝まで飲んでた」



だ、旦那さんがいる人と?



「ふ…2人っきりで?」



「…たりめーだろ? 何のための出張ホストだよ、…はぁ」



いちいち説明するのも面倒みたいに頭を抱える福嶋くん。