たぶん人生でいちばん高速に瞬きしたと思う。
あたしのなかで世界新とか出たと思う。
それぐらい目の前のTシャツのデザインには目を疑った。
ぅ…嘘でしょ。
冗談だよね…?
目をこすって見ても視界に入る光景は変わらない。
み…認めたくないけど、
やっぱりこれは現実だよね――
「はあ…」
脱力感が全身を突き抜ける。
「や……やられた」
あたしはTシャツを机の上に置いて
その上に力なく顔をうつぶせた。
「…そうだった」
西崎さんと2ヶ月間離れててすっかり忘れてた。
――西崎さんが実はイタズラ好きだったってことを…
前にも確かおもちゃの蛇とか、おもちゃのゴキブリとかでイタズラされたことがある。
「何よぉ…」
素直に喜んだのに…
めちゃくちゃ嬉しかったのに…
なのに。
西崎さんがプレゼントしてくれたのは
黒地に白の行書体で縦にでかでかと『大和撫子』と書かれたウケ狙いのTシャツ。
こんなの恥ずかしくて外に着て出られないじゃん!
ひどいよ、西崎さん!!
今ごろ車のなかでひとりで爆笑してるかと思うと、まんまとはめられたことに腹が立ってきた。
あーーっもうっ…悔しいっっ!!
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