「ぶえっくしょんっ!」
――ビクッ
運転中、西崎さんが突然豪快なくしゃみをした。
「…ごめん」
びっくりしてビクついたあたしに
西崎さんは鼻声で申し訳なさそうに謝った。
「いえ」
あたしは笑って首を振る。
西崎さんはずっとあたしが濡れないように
あたしにばっかり傘を差しかけてくれていたから、着ていたTシャツが結構水分を含んでいた。
西崎さんこそ風邪引かなきゃいいけど…
「ちょっと油売って帰るけど、いい?」
「…? はい」
西崎さんが立ち寄ったのは路地裏にある小さな古着屋さんだった。
ここは知人が経営しているらしく、普段からよく買い物に来るんだそうだ。
『ちょっと待ってて』と言われ、車のなかでおとなしく待つこと5分。
西崎さんがお店から出てきた。
あれ? 服着替えた?
濡れたから買ったのかな?

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.759/img/book/genre1.png)
