「よし、行くか?」
「はい」
あたしは社員のコたちに『あとよろしくね』と言って西崎さんと店を出た。
「乗って」
駐車場に停めてあったブルーメタリックのスポーツワゴンに乗り込む。
車内は香気が満ちていた。
西崎さんの香水の匂いだ。
さわやかなグリーンノートの匂い。
懐かしい匂いに酔いしれそうになったのをこらえて『お邪魔します』と一言言った。
「どうぞ」
慣れた動作で運転席に座った西崎さん。
自分の車なんだから慣れているのは当然なんだけど、その慣れている動作でさえ非の打ち所がないんだよね。
ほんと…罪な人だよ。
些細な仕草や動作だけで女の子を夢中にさせるんだもん。

![Eternal Triangle‐最上の上司×最上の部下‐[後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre1.png)
