「履歴書、書き直してあさっての夕方5時にもう一度持ってきてくれないかな?」



「えっ?」



「こっちが汚しちゃって申し訳ないんだけど」



村瀬さんの職歴の欄には、俺がボールペンでラインを引いて多すぎた職歴を消していた。



村瀬さんはまだ意味がわからないというように自分の履歴書と俺を交互に見比べている。



「え…あの」



「あさって夕方5時。遅刻しないように。
服装は目に余るほど派手じゃなければOK。制服はこちらで用意するから」



「…それって」



戸惑う村瀬さんに俺はやさしく笑いかける。








「村瀬さん。あさってからウチの店に来てください」








「――っ…」



瞳に涙を浮かべて言葉にならない様子の村瀬さん。



「…泣き虫だな、君は」



苦笑いしながら頭を撫でると、彼女はさらに込み上げてきた涙を振り払うように首を横に振った。



「…いっしょ頑張ろうな?」



「はい――…」