「人間は物の魅力のほんの一部しか知らないまま、物を捨ててしまう」


カエルはテレビへ視線を向けたままそう言った。


「そうなのかな?」


「おそらくはな。俺だって、動かされるだけじゃなくこうして自分の足で飛び跳ねたりしたかった。


そうすればきっとルキとももっと仲良くなれたはずだ。だけど、それが叶ったのは捨てられてからだった」


捨てられて、魂だけになってようやくその願いが叶ったんだ。


僕はカエルを膝の上に置いた。


プラスチックの感触は昔と変わらない。