カエルがチョイスした大根チップスはかなりの美味だった。


間引かれた大根の種を使って本が一生懸命作ったおかし。


薄く切って油でサッと上げて塩を少々まぶしてある、簡単なものだったが食べ始めたら止まらない。


大昔に放送された白黒テレビを見ながら僕はカエルと一緒に大根チップスをつまむ。


「これ、美味しいね」


「だろ? 本の作るおかしはどれも絶品だが、これが一番好きだ」


「こんな料理の腕前があるのにどうして捨てられたのかな」


そう言ってから、自分の発言にハッとした。


当たり前だ。


この町に来る前に料理をふるまうことなんてできるわけがない。


本は、ただの本なんだから。