「そっか……。なんか、ごめんね」


まだ使えるのに捨ててしまった事。


そのためにこんな町に止まる事になってしまった事を申し訳なく感じた。


「謝る必要はない。人間にはその時その時で必要なものがある。次に必要となるものを手に入れるために、いらなくなった物を捨てるのは自然だ」


「僕の事を怒ってないの?」


「怒るものか。俺はお前といられた時間がとても幸せだった。物にとって人から大切にされている時間は最も幸福を感じるものだ」


そう言ってもらえても、やっぱり僕は納得できなかった。


それならなお更壊れるまで使って欲しかったんじゃないかと思ってしまう。


だけど、この町の住人たちは嘘をつかない。


それを信じれば、カエルは本当に僕の事を怒ってはいないということなんだろう。


「それに、人間に対して怒りを持ち続けている物は、昨日の蛇女のようになる」


そう言われて、僕は息を飲んだ。