その中にはまだ使えるものもあったはずだ。


部屋の中を眺めていると、当時の様子が鮮明によみがえってくる。


部屋の中心には汽車のレールが走り、僕の傍らには積み木が転がっている。


夜になれば母親が枕元で絵本を読んでくれて、その時僕の手の中にあったのは……。


「……カエルのストラップ」


絵本の中に出てくるアマガエルが可愛くて、似たようなストラップを見つけた時母親に買ってもらったのだ。


僕の頭の中で当時のストラップと、今1階でいびきをかきながら寝ているカエルが一致していく。


嘘だ。


まさか、そんなことあるはずがない。


そう思っても、完全に否定することはできなかった。