「別に泣いてなんかないじゃないか」


「泣いてるさ」


カエルは大きな目を瞬きして僕を見上げている。


「またそんな嘘ついて」


「この町に暮らしている物は嘘をつかないと言っただろう」


「はいはい」


僕は適当に返事をしてリビングへと移動した。


ブラウン管テレビの前に立ち、マジマジとそれを見つめる。


「このテレビ、まだ映るの?」


そう聞くとカエルは「当然だ」と、つまみをひねってテレビの電源を入れて見せた。


テレビはブンッと小さく音を立てて明かりを照らし出した。