その湖は蛇女がいた山の反対側にあった。


とても大きなひょうたん型の湖で、水は透明でよく澄んでいた。


「この湖、僕の町にもあった」


「その町とこの湖は繋がっているんだ」


「繋がってる?」


僕は本の言葉に首を傾げた。


「ほら、見て見ろ」


本が身を乗り出して湖の湖面を指さした。


僕もおなじように身を乗り出して湖面を見る。


湖の微かな流れの向こう側へと集中して見ていると、小さな町が見えて来たのだ。


「僕が通ってた幼稚園がある!」


僕は湖面を指さしてそう言った。