思い出すと徐々に腹が立ってくる。


気づかれないよう、僕はそっと握り拳を作った。


「ミサは俺を何度も何度も読み返してネタを覚えて、クラスのみんなに披露してた!」


「へぇ、そうなんだ」


「そう! でも、そうしたらミサは……一人ぼっちになってしまった」


「へ?」


予想外の言葉に僕は首を傾げて本を見た。


本はうなだれて、今にも涙が頬を伝って落ちて行ってしまいそうだ。


「頑張ってネタを覚えて披露してみんなを笑わせても、ミサは陰で悪口を言われてたんだ。『あんなことしてバカじゃない』とか『ミサって頭悪そうだよねぇ』とか」