「俺の家にDVDは置いてないぞ?」


本屋からの帰り道、カエルがそう言った。


僕は手の中の本を見る。


本は大人しく僕にもたれているけれどずっと不安そうな顔を浮かべている。


「DVDはなくても本の中身が読めるから大丈夫だよ」


【お笑い魂】は小学校の頃流行っていた番組で、この本はその中でも人気が高かったネタを収録いているものだった。


DVDはその時の番組がそのまま入っているようだ。


「僕が中学に上がる前に番組は打ち切られちゃったんだけど、すっごく面白かったんだ」


「そなのか。それなら俺もその本を読んでみようかな」


カエルがそう言った時だった。


突然僕の手から本が飛び出し、走り出したのだ。