僕はカエルにニンジンチップスを渡す。


「湿気てるよ」


「これはこれでおいしい」


そういうものかと、僕は思う。


「ミミのことだけど、気にする必要はないと思うよ」


僕はカエルと一緒に湿気たニンジンチップスを食べながらそう言った。


「どうしてそう言い切ることができる?」


「だって、ミミは僕がこの町へ来る前からこの町にいたんだ。帰る場所はきっとある」


「そうか」


カエルはひたすら口を動かして、興味があるのかないのかわからないような口調でそう言った。


僕は膝の上のカエルをチラリと見る。


カエルのツルリとした背中が蛍光灯の明かりで光っている。


「雨が止んだ」