木々の隙間から見えていた真っ青な空は今はオレンジ色に変わりはじめていた。


「まずいな……」


さすがに焦りを感じ始めていた。


このまま山の中で夜になってしまえば、今日中に下山する事もできなくなるだろう。


僕は歩調を早めて歩き出した。


しかし四方八方に伸びた木の枝が行く手を阻み、なかなか前に進むことができない。


汗が額を流れて行った、その時だった。


どこからか低い唸り声のようなものが聞こえて来て僕は足を止めた。


周囲を見回すが、なにもいない。


気のせいかと思い足を前に出すと、また同じような唸り声が聞こえて来て僕は息を飲んだ。