「私も持ち主も、もっと一緒にいたかった。それなのに、引き離されてしまったんです」


ミミがそう言い終わった時、丁度【本の駄菓子屋】に到着した。


「それでこの町に来たんだね」


僕は駄菓子屋に入っていいものかどうかためらい、ミミにそう声をかけた。


ミミは小さく頷き、そして駄菓子屋の看板に気が付いて視線を上げた。


瞬間、垂れていた耳がピンッと立った。


「ここが大根チップスを売っているお店ですね!?」


さっきまでのしみったれた雰囲気は一変し、ミミは嬉しそうに笑顔を浮かべたのだった。