*悠唏*
ここ数日の藍那の落ち込みようは酷い。
去年もぶっ倒れたりしてたし,俺たちじゃわからない何かを抱えているんだろう。
「藍那ちゃん,ちゃんと寝てる?」
「うん?」
返事はしてくれるものの自ら会話を続けようとはしないし,ボーっと空を眺めていたりそうかと思えば足元しか見てなくてドアにぶつかったりもしている。
「……ちゃんと寝ろよ」
「うん」
藍那を家まで送り俺たちは倉庫に戻った。
「どうしたんだろうね」
「な~」
「さすがに変じゃねえ?」
「生返事ばっかりだしな」
「……あいつが大人しいとまたなんか問題起こしそうだよな」
「舜…」
「いや,変な意味じゃないけど」
舜の言いたいことはまあわかる。
最近の俺たちの心労はもっぱら藍那のことだし,当の本人が何も話してくれないからだ。
「この間,やっぱり何かあったんだろうな」
「悠唏,何か聞いてる?」
「いや……」
そりゃあもちろんどんなことだって聞きたいが,藍那は話さない。
……俺は藍那を守るためにこんなところにいるはずなのに,全然だな。
「…フッ」
小さく,自嘲がこぼれた。
「しょーがねえ!!!気分転換でも連れていくか!!」
龍毅が名案!とばかりに何か言いだした。
気分転換……?