「返事は」
「返事……」
「あちらに渡るのであれば手配する手はずは整っている」
「そんなの……」
もちろん行きたいに決まっている。今すぐにエドに会いたい。
あの日のことを謝って,エドから逃げて日本へ勝手にやってきて,今まで何の行動も起こさなかったことを…全部ごめんねって言いたい。
けど……今すぐに決められない。こっちにも,あたしを大事にしてくれる人がたくさんいるんだ…。
「すぐには決められない…」
「猶予はない」
「そんな…」
「あちらへ行くか行かないか,どちらかだ」
「……」
考え込み,すこしの沈黙が続いた。
「…返事は」
表情は読めないけれど,男は苛ついている様子だ。
「あたしの,返事は……」



