理事長室を出て音楽室に行くと,みんな揃ってあたしのことを待っていた。

「お待たせ」

みんなで倉庫に向かうようになってからしばらく経つ。紫蛇がおとなしくなってからもみんなで行動するのは変わらなかった。もうそんなに誘拐される心配とかないと思うんだけどな~


「さーじゃあ行こうか」


まあ,少し治安が落ち着いたおかげで拠点である倉庫に急いで行く必要がなくなったっていうのも理由の一つなんだとは思うけど。




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倉庫ではほとんどいつもテレビを見て過ごしている。

幹部部屋にあたしが持ち込んで配線のセッティングとかも自分でやった。
みんなには「なんでそんなことできんだよ?」とビックリされたけど,まあアメリカで何でもやってみたから…意外と特殊なことができたりはするかもしれない。


日本のドラマが大好きで毎日いろんなのを録画しておいて見ている。それに,アニメもカラフルで話が奥深くて面白いし,バラエティ番組はたまに腹筋が壊れるんじゃないかってくらい笑う。

専門的な知識を知りたいと思ったらアメリカのバリエーションには到底敵わないけど,他の面では結構面白い。

国会中継なんかもたまに見るけど,彼らが何を言っているのか,行動も言動も理解に苦しむ。

生物に関する番組も好きで録画しているし,毎日テレビばっかりでもぜんぜん飽きない。たのしい!



そして今日はたまたまエンタメ情報を見ていた。

ニュース番組はあんまり見ないからエンタメもそんなに見てなかったけど…





『さて続いては,今若い女性を中心に絶大な人気を誇るジュリアさんにインタビューです!どうぞー!!』
『ハァイ,日本のみなさんコンニチハ,ジュリアよ』
「お,こいつ最近よく見るやつじゃん」
「龍毅のお気に入りの?」
「うるせえ,いいじゃねえか」
「おっぱいとケツがでけーからだろ」
「グラマラスっていうんだよ,たぶん…」


え?何でジュリア?





『ジュリアさん,日本語がお上手ですね』
『アリガト,いっぱい練習したのよ』
『日本がお好きなんですか?』
『オイシイものがたくさんあるし,大事な友人がいるの。だから大好きよ』
『それはうれしいですね~。そうそう,今度来日のご予定があるそうですね』
『そうなの。ショーと一緒にプライベートのバケーションも日本で楽しむつもりよ』
『日本で訪れたい場所なんかは…』






「へー,ジュリア日本にくんのか」
「龍毅マジでお気に入りじゃん」
「いいだろ別に」
「まあ美人ではあるけどさ~めちゃくちゃ気ぃ強そう」
「おめーは女を見たらそれしか言わねえな」
「だってそうじゃん!」


龍毅と舜くんが仲良く(?)話しているのを右から左に聞き流していた。

ジュリア,日本に来るんだ…



「ジュリアってやっぱアメリカでも人気なのか?」

「……」

「おーい藍那,聞いてるか~」

「…ん?」

「ジュリアってアメリカでも人気なのか,って聞いたんだよ。ボーっとしてんな,どうした」

「なんでもないよ。美人だな~って見入ってただけ!」

「ふーん」

「ジュリアは人気だよ~」



確かに気が強いけど,思いやりもあって優しくて強い女性なんだよ。


…日本に,来るんだ……