「鳳狼が何をしようと干渉しない。桜華への直接攻撃およびそれに準ずる行為に対しては反撃するけれど,それ以外には何も関わらないことを誓おう。もちろん,そちらにも同様に誓っていただく」


副なのだろう,オレンジ頭の隣にいるやつが言った。


「悠唏……桜華が同盟を組まないのは本当だ。これは説得できない」


僚が小さく耳打ちしてきた。なんでも,代替わりとともにその桜華の決まりは強固なものになったらしい。


「…不干渉条約とやらに同意すんのか」

「それしかないよ。ぶつかりたくはないだろ」



そうだ。俺たちは桜華と敵対することさえなければそれでいい。

しかたねえ




「…分かった。それでいい」

「じゃ,誓っていただくよ」



それから数日後,鳳狼とその傘下は桜華にまったくもって関わらないことを誓った。


つーかこの城とか言う建物凄すぎね?どこからこんなもん建てる金用意したんだよ。エレベーターとかついてんじゃねえか。










「冷龍はどうして抜けたんだ」


確か俺らと同じ年だったか…?理流と同じだったか?



「…総長は探しもんがあって,それと同時に幹部も抜けたんス」

「探しもん?」

「詳しいことは知らねえっス」



ふうん…


オレンジ頭は意外にも雑談に応じた。あの冷龍が探しもんねえ…


「やっかいな紫蛇を壊滅させたのは,さすが鳳狼ってとこッスかね」

「ん?桜華の総長でも他所を褒めたりすんのな」

「紫蛇はあと少しでこっちの管轄にも踏み込みそうだったから,監視してたっス」



そんな話を少しだけした。

桜華は自分たちの地域しか守る気がないらしく,そこに踏み込んだら一瞬で叩き潰す準備をしていたらしい。

そっちの方が楽にかたづいたのかもな…









こうして紫蛇といい桜華といい,俺たちの頭を悩ませていたものがすべて解決した。