空が真っ暗になったころ,開けっ放しの窓からけたたましいバイクの音が聞こえてきた。
鳳狼だ!
窓から身を乗り出してみてみると,何台かのバイクが見えた。
すぐそこに来た人の中には……あれ?悠唏がいない?
家の前にやってきたのは龍毅と理流,それからモモだった。
「藍那ちゃん,お待たせ」
「理流!悠唏は…?」
悠唏が来ないなんて,どうしたんだろう。いつも絶対にあたしを迎えに来るのは悠唏なのに。
「悠唏が怪我しちゃってね,僚んとこの病院にいるから一緒に来てくれる?」
「怪我!?」
そんな!大丈夫なの!
怪我をしたと聞いて,サッと血の気が引いた。
そんな…病院に行くほどの怪我なの?
「大丈夫!命に別状はないし,ピンピンしてるから!」
「そう……」
それなら,いいけど…
「さっさと乗れ,藍那」
龍毅にヘルメットを渡され,あたしは龍毅のバイクの後ろに跨った。
「モモ,なんともない?」
「俺は全然!お二人のケツ見るためについてきたんだ」
二人だけだと警察とかに捕まった時に面倒なんだそうだ。
よくわかんないな…
モモはいたって普通で,怪我もしてなさそうで安心した。
龍毅は汗のにおいするし手袋しててわかんないけど手も腫れてるような気がする。
結構なスピードで走っていくからしっかり龍毅に捕まっていたけど,あばらとか問題なかったんだろうか。痛かったりしても言いそうで言わないからな,龍毅は多分。



