「下は終わったのか」

「ああ…ほとんどのやつがもう動けねえよ」

「そうか……」




終わったな。



「悠唏,止血しないと!」

僚も到着していたらしい。慌てた様子で駆け寄ってきた。

「ほら,これ使え」

理流が,来ていたTシャツを脱いで寄越した。

「わりい」


ギリギリ目には当たってない。助かったな…と思いながら何で殴られたのかと思って探せば,箒に似た形の雑巾を挟む棒が落ちていた。

……ここは学校かよ。

こんなもんどこで手に入れたんだか。




「僚,この部屋のどっかに薬があるかもしれねえ,探しとけ。それがあれば倉本を警察に突き出す」

「え…やっぱり倉本が?」

「確認はしてねえけどな。やつは使ってなかったが,副総長のそいつは多分ヤってんだろ」


一瞬見たときの目がイってた。それに,倒れてるそいつの腕には無数の針の跡がある。


「……下にいるやつの中にも,いるかもな」


倉本とそいつは直接突き出して,ここへは警察を呼んどくか。どうせそっちにも専門の医者がいるだろう。





俺は気を失っている倉本を担ぎ上げ,階下へ降りた。







「聞こえてる奴がいんだろ!聞け!」



目を抑えていたTシャツは外し,2階を見下ろせる位置で声を張り上げた。くそ,あばらがいてえ



「倉本は潰した!今日をもって紫蛇は終わりだ!解散しろ!」


返事などないが,何人かは悔しそうにこちらをにらみ,何人かはほっと息をついている。

どうせもう長くは持たない組織だった。薬なんかに手を出してんだから,終わりだ。






倉本と副総長は手足を拘束して話の分かるやつがいる警察署に連れて行った。

俺は怪我をしてるから行けず,舜と幹部じゃない奴1人だ。啓司たちに頼れば助けてくれただろうが,これは俺たちがけじめをつけるべきだろうと思う。

二人は例のビルにも警察を連れて行ったことだろう。



こうして紫蛇は壊滅した。