*藍那*
ここ何日か倉庫がとってもピリピリしてる。
今まで見たことない人が出入りしてたり,幹部が街に出て行ったり…それに,倉庫に武器らしきものが並び始めた。
聞くまでもない。
大きな喧嘩があるんだろう。
わざわざ悠唏たちに聞かないからか,みんなも「1週間くらいはマジで注意してくれ」って真剣な顔で言われた。何か起きても自分で何とかできるように頑張るつもりだよ…
そして金曜日。昨日のうちにみんなに「明日は家から一歩も出るな」と言われた。学校にも行かなくていいらしい。
抗争のためにあっちゃんたちから許可をもらったとかなんとか……そんなことできるんだ。
「悠唏…今日は聞いてもいい?」
昼前,悠唏と下っ端の5人を引き連れてウチへやってきた。今聞いておかなきゃ確認する時なんてない。
「…ああ」
「今日は紫蛇と喧嘩するの?」
「ああ…紫蛇を本格的につぶす。倉本さえ潰せば後は機能しなくなると思ってる」
「そっか…」
あたしは紫蛇の現状を知らないけど,去年のあの感じだと紫蛇は倉本のワンマンなのかな。
「…本当に,気を付けてね」
目的だけにとらわれないで。悠唏はトップなんだから全部を把握して指揮をとらなきゃいけない。前みたいに我を失って暴走するようなことがないようにしてほしい…
あたしはそう思って悠唏の手をぎゅっと握った。
「家でいい子にしてろよ」
「うん」
ポン,とあたしの頭を撫でると悠唏たちは行ってしまった。
みんなが揃いの特攻服着てる姿,あたしも見たかったなあ
鳳狼はなかなか特攻服を着ないんだそうだ。今回は貴重な機会だった。
全部が終わったらお願いしてみようかな。そんな簡単に着れるようなものじゃないか…
その重みはあたしが想像できないものなんだそうだ。



