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あれから、私とユウヤは一気に距離が縮まった。



毎日電話をして、朝練の時間に合わせて2人で同じ電車の最前列で待ち合わせして


一緒に登校。



朝練の時間だから、人も全然いなくて、2人だけの世界、2人だけの秘密って感じがしてドキドキした。



「…俺、瑠羽と遊んでみたい」



少し俯いてユウヤが言った。



私、心臓バクバク。



「…うん、わ、私もっ!私も、ユウヤと遊びたい!」



「よっしゃあ!」



また、よっしゃあ!って言ったユウヤの顔はとても可愛い笑顔だった。



よっしゃあ!


なんて、やっぱ、期待しちゃうよね。



「あー…でも、そろそろテスト始まるよな〜」



「あー…最悪だ…また赤点なんてとりたくないよ〜」






私は本当に頭が悪くて、毎回赤点とっちゃうような人間だったりする。




「…実は、俺、頭いいんだけど…知ってた?」



「え〜?本当??」



「本当だよ。こう見えて、理数とか超得意。」





うわあ、言ってみたい。




「まじで!?…え〜、羨ましすぎる。切実に。」



「俺で良ければ、教えようか?」



「えっ…本当に?」



「おう!任せろ!!」





そう言って私の肩に手を回すユウヤ。






やばい、やばい、今超密着しちゃってる。





って事より、いやそれも本当にやばいんだけど!



一緒にテスト勉強できるってこと!?




私もう怖いものなんてないよ…!!!




勉強好きになれそうだよ…!!!!!





そんな話をしてるうちに、学校に到着。




今週の金曜日に、ユウヤの家でテスト勉強することになっちゃった。



ユウヤとバイバイして、朝練。



うわあ〜〜!


早く、早く約束の日にならないかな…




洋服、どんなの着ていこう。


あ、学校帰りだから、制服か。



やば〜い!本当にやばい!!



ユウヤの家に、ユウヤの部屋に、私、入れるってことだよね…!?



もう、時間たつの遅すぎるよ…!!



早く金曜日になってよ〜!!



「なにひとりでニヤけてんだよ」



「いたっっ」



私の素敵な思考は、リクト先輩による暴力で強制終了。




「ねえどうしていつも叩いてくるのさ〜!!
私、女の子なのに!」




「お前を女の子だと思ったことはない。
練習しろ。」



「あっ!ねえ!先輩聞いて!!
私、金曜日、好きな男の子に勉強教えてもらうことになったの!」




先輩がマヌケな顔でこっちを見る。


「まじで?家?」



「うん!!あっちのお家!!
もう超ドキドキだよ〜〜!」



少し俯いて、こっちを優しい目で見て、


「そっか。気をつけてな、いろいろと。」




そういう先輩はどこか不安そうだった。




「うん!!!」




私は何も気にせずに即答。







今ならわかる。
先輩がどうして不安そうだったのか。
先輩は、いつも、ちゃんと、私のことを考えてくれてたんだ。










約束の日。



私はいつもより少し早く起きて、いつもより丁寧に化粧をして


ユウヤが好きって言ってた巻き髪にして、ずっと、ずーっと、ドキドキしてた。



その日は2時間授業で早帰りだった。


いつもより全然短い1日なのに、私はいつもの学校より長く感じてた。



早く、早く、、、









授業終了のチャイムが鳴る。



やっと下校の時間…!!




「瑠羽、かえろ」



アキが優しく可愛い笑顔で声をかける。


私はずっとドキドキしてて、


「ぇっ!あ、ぅうん!!かえる!!」



なんて、とても動揺したような返事で、、(笑)


「なあに、瑠羽、なんかあったの?顔が真っ赤。
それににやけてるよ。」



「えっっっっ!!!いや!ううん!なんでもない!」



「ほんとか〜???
ま、なんかあったらいつでもいいから聞かせてね」



「うんっ!」




アキは優しい。



いつも深く詮索しないで、私を見守ってくれる。



アキはいつでも私を助けてくれる。





付き合ったら、真っ先にアキに言おうっ!!





ルンルンしながらアキと並んで帰る私の後ろの後ろに、ユウヤがいることに私は気づかなかった。




そのぐらい、周りなんて見えないくらい自分の世界に入ってたんだあ〜!!






るんるん。







アキは都会方面。


私は田舎方面。



アキとバイバイして、私は電車に乗る。



『今、電車のったよ』



ドキドキしながら、ユウヤにLINEをする。
すぐに返信がきて私はひとりでビックリしたんだ。



『うん。俺も。瑠羽の後ろで歩いてたよ!』



『えっ!気づかなかった!でも車両違うね』



『なんか駅つく前に会うのが恥ずかしくて(笑)
俺んとこの駅ついたら、右に曲がって。俺いるから。』



『うん、わかった!』



恥ずかしいんだって…!!



可愛い、可愛いよユウヤ〜〜!!



私のテンションは急上昇。下がる気配なんてまっさらない。






ドキドキ、ドキドキ、








バクバク、バクバク、







何回も鏡を見て、最終確認。



大丈夫。


きっと、可愛い。





…はず。






いつも降りる私の駅を通り過ぎて、ユウヤの家の駅についた。






緊張しながら、私は電車から降りた。




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