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私は、高校生。


少女漫画では、素敵な出会いをして、王子様みたいなかっこいい彼氏ができて、毎日ラブラブして

オシャレな女友達やおもしろくて優しいクラスメイトと毎日楽しく生活する、高校生。



私、高校生になった!!!



なーんて、最初は浮かれてたけど

実際中学とはあんまり変わらない毎日で

もちろん彼氏なんてできなくて。



「は〜〜あ」



と 教室の自分の机の上に突っ伏して大きなため息をつく私。



織川 瑠羽(おりかわ るう)、16歳の高校1年生。



吹奏楽部に所属してて、小学校からずーっと打楽器一筋。

先輩から好かれてたからか、副部長なんて務めちゃってる。



「なあに〜?どうしたの」

なんて、ケータイいじりながら私に話しかけるのは同じクラスで心友のアキ。


出席番号が前後で、入学式の日にすぐ仲良くなったんだ。私が高校生になって一番最初に出来た友達。



「いやあ〜なんか、つまらないなあと。刺激が足りないんだよ私の人生、、、」


「なあに言ってんのさ、だったら彼氏つくれ。そのためには女磨け。」


「彼氏ねー…」


そう。私、ガサツで下品でうるさい、いわゆるオヤジ系女子。

治さなきゃって思うんだけど治せない。しょうがないよね、だってこれが私だし。


今までこの性格のせいで悪く言われたりしたけど仲良しの友達がいればいいもん。

勝手に言っとけ!

なんて思ってるけど、実際ネガティブでガラスのハートの私は強がっても萎えてる。

めちゃくちゃ気にしてる。

人の目とかなかなか気にする。


そんなめんどくさい私のこと、誰かもらってくれないかな〜〜って思ってるけど、、、


まあ、いないよね。(笑)



「うあ〜〜!!!彼氏欲しい〜〜!!!」



「うるさいなあもう!黙れこのやろう!」



いつもの調子で私とアキはもみくちゃになってふざける。



「やかましいよなにやってんの」



そう言って少し笑いながらこっちに来るのは修哉。修哉はイケメンだと思う。

濃い顔立ちに、バスケ部で鍛えられた筋肉。強そうに見えて実は少しビビりっていうギャップもあって、女子からなかなかの人気を得てるんだ。


そんな修哉も、いつも一緒にふざけてる仲間なんだ。



「あぁ…お前がいっそ彼氏になってくれよ…」



「はぁ?(笑)やだよ(笑)」



「つらい…つらすぎる…なにこのJK生活…私こんなの想像してなかったよ…」



私、生きる希望0。



「ほら〜、もう部活行く時間でしょ。頑張ってきな!」


アキはそう言って私の背中を押す。



「ばいばい…」



私は上の階にある部室に向かって思い足取りで階段を登る。


あ〜、これも同じ。


いつもと同じ。


毎日毎日同じ。


ヤダヤダ。




この頃の私は、本当に毎日同じことの繰り返しなのがイヤで、刺激が欲しいって思ってた。
今思えば、それはあの出来事が起こる前兆だったのかもしれない。




なーんて。ね。


部室の長机に仰向けに寝そべって寝ようとしてた私。



「なにやってんだよそこで寝そべるヤツ初めて見た」



そう言って私のお腹を楽譜でぺちっと叩くのは、1個上のリクト先輩。


「いたっっ!!!!あ〜、もう子供産めないよ〜〜先輩責任とって。」



「馬鹿言うな(笑)ほら、楽器出すぞ」




「…はあ〜い」



同じ打楽器パートのリクト先輩は、まさに才色兼備。


誰が見てもかっこいいイケメンで、外国人並の大きな目に、筋の通った高い鼻。

色素の薄いサラサラの髪に透き通った白い肌。小さな口からは白い歯が見える。


まさにイギリスらへんの王子様みたいな顔。



しかも、頭も良くて学年1位とかとっちゃうし、昔はサッカーやってたっぽいし、

楽器もできるし、私が生意気な態度とっても許してくれて、、



私の1番尊敬してる人なんだ。



そして、私の1番の相談相手。



「ねえ〜〜私に足りないところってどこ?」



基礎練習で漫画本を叩きながら目の前にいるリクト先輩に聞いてみる。



「あ?そんなの決まってんだろ。女子力、純情感、品、頭」



「くっそ〜〜……先輩結婚しようよ」



「死んでもやだ」



ああ…神様…なんたってこんなに人は不公平なの…



アキなんて、持ち前のおもしろさと優しさと冷静さでモッテモテなのに

隣にいる私はどうしてこんなにディスられなきゃいけないんですか……



ひとりで考えてる私を見て、リクト先輩はフッて笑う。



これも、いつもと同じ。



お決まりってやつなんだ。



部活終わり、音楽を聴きながら電車を待ってる私。



肩にいきなりドンッて振動。



びっくりして隣を見ると、隣のクラスのユウヤがこっちを見てた。



「ねえまじでビックリした〜(笑)やめてよ〜」



「下校同じって珍しいな」



「だね、バスケ部っていつももっと遅いよね?」



「いつもは9時くらいかな〜今日はラッキーデイだったわけだ」




ユウヤは同じバスケ部の修哉繋がりで文化祭らへんの時期に仲良くなったんだ。


好きなアーティストもアニメも漫画も一緒で、おまけに同じ市内に住んでて隣の中学校で家も近かった。


はじめは2人して、すごーい!って言ってたんだよね〜なつかしい。




同じ電車に乗って、2人でいろんな話して、私は先に降りる。ユウヤはその次の駅。





ユウヤはおもしろい。それに、友達想いでイイ人だなって思う。



この日から、私とユウヤは一層仲良くなって、毎日LINEするようになったんだ。






実は、少し、すこーーし、ほんのすこし、気になってる。



まだ、アキにも言ってない。




だから、一緒に帰れたのも、LINEできるのも、密かに嬉しかったんだ。





それから数日たって、ユウヤからのLINEに、私の心臓は3回くらい飛び出た。




『電話できたりする?』



『電話!?まって、私、男と電話とかしたことないよ〜あせりあせり』



『お!俺が初めての男になるんだな〜!?って、なんかこれ、意味深(笑)』



『それな(笑)ええ〜、緊張する、』



私、文章では焦ってないようだけど実際心臓ドクドクしてて、手も震えて、、


やばいやばい、超緊張する、、、



♪~ ♪~



うわぁっ!!かかってきた!!



震える手に力を込めて、勇気を出して応答ボタンを押した。



「よぉ。」



「…はい」



「…俺が初めてだよね?」



「うん。、、、初めてあげちゃった。」



「よっしゃ!(笑)」



緊張しちゃってうまく話せなかったけど、めちゃくちゃ嬉しくて。



それに、よっしゃ!って反応。



もしかしてユウヤも私のこと気になってくれてるのかな、、?



って、自惚れちゃってもいいよね。





寝るとき、ベットの上で目を瞑った瞬間。
私、ユウヤの事好きなんだ。




そう思って、ホントの気持ちをわかってしまって。


幸せで幸せで、その日はあんまり眠れなかったんだ。




次の日、目の下のクマを皆にバカにされたのは、秘密。



って言いたいところだけど、思いっきりユウヤにもバカにされたよ。



「お前のせいだ!」





なんて、言えなかったけどね。



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