そうして、社内や銀行関係など結婚して必要な手続きを社外の用事と共に終わらせて戻った頃にはお昼の時間になっていた。

今日は社食で食べようと思ってデスクからお財布なんかを入れた小さな手提げを取ると、後ろから声をかけられた。

「金山さん、ちょっといいかしら?」

声をかけてきたのは同じく総務部庶務課の先輩社員。

「はい。私が席を外した間になにかありましたか?」

私は仕事でなにかあったのかと思い聞いた。
この先輩、実はあまり課内では仕事をしてくれない人として有名だ。
合コンや、社内のいい男性の話ばっかりしている。
ちなみに常務の娘でコネ入社との話。
総務部長と庶務課長の頭痛の種である。

すると、キッと睨みつけられて彼女はキツい口調で私をなじり出したのだ。

「秘書室長補佐の泉さんは、社内では手出し無用ってルール知らないの!?この間街を手を繋いで歩いてるの見たわよ!」

まぁ、いずれ知られるだろうと思っていたけれど厄介な人に見つかっていたことを知り、私は小さくため息をついた。

なにしろ、この勝手に言ってくる先輩が悠斗さん狙いなのはかなり有名だったからだ。
まぁ、アタックする度にやんわりからハッキリお断りされているのも有名だったけど……。

そんな彼女が街中で私と悠斗さんが仲良く一緒にいるのを見ればこうなるのも分かる。

とにかく、ことこういったこと以外でも問題のある人なので仕方ないと私は若干諦めの境地にいた。

とにかく面倒だなと言うわけである。