有無を言わさぬ悠斗さんに私もうなずいて、この日は午前中に分担して家事を済ませた。
朝食は悠斗さんが用意してくれて、私が食器を洗う。その間に悠斗さんが掃除。
私は洗濯機を回しに行く。
その後、洗い終わった洗濯物はふたりで干した。

今日もカラッと真夏の暑い日差しが射し込むベランダに洗濯物を干す。
きっとあっという間に乾くだろう。

洗濯を干したあとは、暑かったのもありお茶休憩。

ゆったりとした休暇の一日といった感じた。

「それにしてもこのマンション、お洒落ですよね!さすがデザイナーズマンション」

そう私が言うと、悠斗さんは実にあっさり答えてくれた。

「梨乃のこの感想を聞いたら、貴之が喜びそうだな」

ん?なにか知らない名前が出てきた。

「ここに入居する時、ここのデザイナーが知り合いだったから口聞いてもらって優先的に入居出来たんだよ。今度そのデザイナーの貴之にも紹介するよ」

専務秘書の悠斗さん。
どうにも顔が広く交友関係も幅が広そうだ。

私なんて双子か麻里花しか相手がいなかったから、交友関係はかなり狭いのだ。
それを気にしたことは無かったけど、結構狭い世界で生きてる気がする。

会社の関係者も、会社だけの付き合いでプライベートで交友する程の仲の相手は居ない。
実にあっさりしたものだ。

飲み会以外は、ほぼ会社と自宅を直行直帰なのだから、交友の広がりようがないのだけれど。

そりゃ、この歳まで彼氏出来ないよねと自分で納得してしまった。