「それと、梨乃。そろそろその硬い話し方やめない?」

ん?硬い話し方?

「えっと、私の話し方変ですか?」

「いや、違うよ。社会人としては間違ってない。ただ、恋人としては歳が離れててもそんなに硬い話し方しなくない?麻里花と話すような感じで話してよ」

なんと、私に口調を砕けさせてと言ってます?
ニコニコとしつつ言ってきた悠斗さんは、とても期待しているように見える。

「まだ、慣れないから少しずつ……、ね?」

口調を意識するだけでも、照れてきてしまう。
恋愛初心者の私には何から何までハードルが高い。
ドキドキが止まらない。

何とか返した、私の言葉に悠斗さんは嬉しそうに口角を上げる。

「そうそう、そんな感じで良いから。ゆっくり慣れてってね?梨乃を僕から離す気は無いから」

お付き合いしてから、悠斗さんはサラっと甘いことを言う。

悠斗さんが恋人には甘々なんだと、お付き合い2日目で思い知った。

嫌なわけじゃないけれど、むず痒いというかこそばゆい感じで慣れない。

そんな感じで身の置き場に困りかけた頃自宅マンション前に着いた。
お客様用の駐車場に入れてもらって、一緒に家へ行く事に。

オートロックをあけてエレベーターに乗り込み15階を押す。

静かに動き出したエレベーターは、途中で止まることも無く十五階に着く。