「ちょっと、梨乃?あんた美人なんだからあっちの集団上手く誘ってよ!」

そう言ってきたのは、私と麻里花と高校時代仲の良かった肉食系女子の加奈子。


「いやいや、フェロモン女子な加奈子が行った方が話が早いって!私は興味無いし。どーぞ、いってらっしゃーい!」


ローストビーフ食べながらひらひらと手を振ると、プリプリと加奈子は怒って言う。


「もー!!麻里花も結婚したんだし梨乃もそろそろ彼氏の1人も作んなさいよ!」


ウグッ!

ローストビーフが詰まりかけて、慌ててグラスのシャンパンで流すと一息ついてから加奈子に言葉を返す。

「加奈子、私はいいの。御曹司の類友は面倒そうだからパス!」

「そんな事言って、あんたちっとも彼氏出来ないままじゃないの!こんな良いチャンス逃すんじゃないの!!」

えぇ、未だに初恋こじらせて今まで彼氏なんて出来た試しもないけど、そんなことは良いのよ。

「恋愛初心者にハードルが高い系男子はノーセンキュー!」
「もう!とりあえず私は行くからね!」

そう言って加奈子は御曹司の集団の方へと繰り出した。
あれは、百戦錬磨の女豹だからね……。
御曹司の類友が誰か犠牲になるだろう。